「歯が欠けたけど痛みがないし、このまま様子を見ていいのかな」と迷っていませんか。鏡でそっと確認しても血も出ていないし、食事も普段通りできる。そうなると「病院に行くほどでもないかな」と感じるのは、とても自然なことだと思います。ですが歯科衛生士として日々患者さんのお口を見ていると、「欠けたときは痛くなかったのに、数週間後にしみるようになった」というケースを何度も経験してきました。今日は、欠けたまま過ごした場合に何が起こるのかを、時間の経過に沿って一緒に整理していきましょう。
痛みがなくても、欠けた歯は放置すると悪化することがあります

歯が欠けた直後に痛みがないのは、欠けた部分がエナメル質(歯の一番外側の硬い層)だけにとどまっている場合が多いからです。ただし、痛みがないことと「治療が不要」は同じ意味ではありません。大津市歯科医師会も早期に適切な治療を行えば保存できる歯であっても、放置すると悪化してしまうことがあると案内しています[2]。
エナメル質だけの欠けはしみにくいが、内部は進行することがある
エナメル質には神経が通っていないため、表面が少し欠けただけなら痛みを感じにくいのが特徴です。ただ、欠けた縁はもともとの歯よりもザラつき、そこにプラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。
欠けの深さによって、経過の見え方が変わってきます
同じ「欠けた」という言葉でも、実際の深さはさまざまです。目安として、次のように整理すると分かりやすいかもしれません。
| 欠けの深さ | 主な症状 | 経過の傾向 |
|---|---|---|
| エナメル質の表面のみ | 痛みなし・見た目の違和感 | ゆっくり進行することが多い |
| 象牙質まで露出 | 冷たいものがしみる | 数日〜数週間でしみが強まることがある |
| 神経(歯髄)に近い・達する | 強い痛み・熱いものもしみる | 早期の対応が必要になりやすい |
ご自身では境目の判断がつきにくいことも多いので、「様子を見ている間に深さが分かる」というものではない、という点だけ覚えておいてくださいね。
放置後1日〜1週間で、欠けた縁がしみや粘膜の傷を招きます

欠けてから最初の数日は、鋭くなった縁が頬の内側や舌を傷つけやすくなる時期です。あわせて、象牙質(エナメル質の内側の層)が露出していると、この時期からしみを感じ始めることがあります。
欠けた縁が粘膜をこすり続けると口内炎のような傷になりやすい
欠けた部分の角が鋭いと、話す・食べるといった動作のたびに舌や頬の内側をこすってしまいます。小さな傷でも繰り返し刺激されると治りにくくなるので、欠けた側で強く噛まないように意識してみましょう。
冷たいものがしみるのは象牙質が露出しているサインです
日本歯科医師会は、歯ブラシの毛先が触れたり冷たい飲食物・甘いもの・風にあたった時などに感じる一過性の痛みで、むし歯や歯髄の炎症といった病変がない場合に見られる症状を知覚過敏と説明しています[3]。欠けてすぐは平気でも、この時期からしみを感じ始める方は少なくありません。
欠けた破片が取れてしまった場合は保管方法も大切です
大きめに欠けて破片が見つかった場合、乾燥させずに保管しておくと、その後の治療の選択肢が広がることがあります。保管のコツについては折れた歯を牛乳に浸すのはなぜ?再植成功のカギを握る応急処置でも詳しく触れていますので、破片がある方はあわせてご覧ください。
放置1ヶ月以上で歯並びの乱れやしみ・二次感染が進みます

1ヶ月以上そのままにしておくと、欠けた歯をかばう噛み方の癖がついたり、しみが慢性化したり、欠けた隙間から細菌が入り込んで神経に炎症が及ぶことがあります。ここまで進むと、治療の内容も変わってきます。
欠けた歯をかばう噛み方が歯並び・噛み合わせに影響することがある
欠けた部分で噛むと痛みや違和感があるため、無意識に反対側だけで噛む癖がついてしまう方がいます。この状態が続くと、片側の歯だけに負担が集中し、噛み合わせのバランスが崩れる要因になることがあります。
しみる症状が続くと、神経の炎症に進むケースがあります
厚生労働省の e-ヘルスネットでは、歯が失われる原因として歯周病(37%)に次いでむし歯(29%)、破折(18%)が挙げられています[4]。欠けた部分を放置して神経まで刺激が及ぶと、しみるだけでなく、根管治療(歯の内部の神経を扱う治療)が必要になる場合があります。日本顎咬合学会の報告でも、歯周組織の破壊が生じる前に治療を開始できた症例では10年後の生存率が90%を超えると示されており、欠けや破折への対応は早いほど歯を残せる可能性につながると考えられます[1]。
欠けた隙間から細菌が入り、二次感染につながることがある
欠けた縁に汚れが溜まったまま数週間〜数ヶ月が経つと、そこからむし歯菌が入り込み、気づかないうちに内部で進行することがあります。これがいわゆる二次感染で、表面上は小さな欠けに見えても、内部では神経に近い位置まで進んでいることもあります。すでに詰め物が取れている場合の対応は詰め物が取れた!まず何をして、何をしちゃダメ?応急処置の手順も参考にしてみてください。
受診までのセルフケアと、当院での相談の流れ

歯科医院を受診するまでの間は、欠けた部分を刺激しないケアに切り替えることが大切です。当院では、平日は20時まで、土日も診療しており、仕事や育児で日中に時間が取りにくい方でも相談しやすい体制を整えています。
受診までは欠けた側を避けたやさしいケアに切り替えましょう
- 欠けた歯の側では硬いものを噛まないようにする
- フロスは無理に押し込まず、健康な歯の部分から先にケアする
- 歯ブラシは毛先のやわらかいものを選び、欠けた縁を強くこすらない
- しみるときは冷たい飲食物を一時的に避ける
夜だけはフロスを丁寧に、という習慣がある方は、欠けた歯のまわりだけそっと通す程度にとどめておくと安心です。
当院では個室での説明と無理のない費用相談に対応しています
当院ではCTやマイクロスコープを用いた精密な診断を行い、削る量や神経への影響を確認したうえで治療方針をお伝えしています。個室のカウンセリングルームで治療前に費用と期間をご説明しており、必要に応じてデンタルローン(最大120回、月々3,000円からの分割払いに対応)のご案内も可能です。土日しか時間が取れない方は、土日しか時間が取れない方へ——谷町九丁目・上本町エリアで休日受診を考えるときの判断軸も参考にしてください。
欠けの程度によって治療の選択肢が変わります
軽い欠けであれば歯を削る量を抑えたレジン修復で対応できることもありますが、範囲が広い場合はセラミックなどの被せ物が検討されることもあります。当院では国内の歯科技工士と連携し、メタルフリー素材による審美治療にも対応しています。
まとめ
- 歯が欠けても痛みがないのはエナメル質のみの欠けであることが多いためで、治療不要という意味ではありません
- 放置後1日〜1週間は、欠けた縁による粘膜の傷やしみが出始める時期です
- 1ヶ月以上放置すると、噛み方の癖による歯並びへの影響、しみの慢性化、二次感染による神経への影響が進むことがあります
- 大津市歯科医師会や日本顎咬合学会の報告でも、早期の対応が歯を残せる可能性につながることが示されています
- 受診までは欠けた側を避けたやさしいセルフケアに切り替え、当院では平日20時まで・土日診療、個室でのご説明、分割払いにも対応しています
「痛みがないから平気」と思っても、欠けた部分は放置で悪化することがあります。セレッソオーラルケアクリニックでは平日20時まで・土日診療で相談いただけますので、欠けが気になったタイミングでご相談ください。まずは初めての方へ(初診の流れ)からご確認いただけます。お電話でのお問い合わせは06-6796-9268まで、近鉄大阪上本町駅から徒歩1分の当院にてお待ちしております。
参考文献
[1] 日本顎咬合学会「日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学」jstage.jst.go.jp
[2] 大津市歯科医師会「歯の破折(はせつ)について」otsu-da.jp
[3] 日本歯科医師会「知覚過敏 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020」jda.or.jp
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯の喪失の原因」kennet.mhlw.go.jp
